歴史と暮らし
名古屋近郊、庄屋屋敷の敷地に泊まるということ
はないけリトリートは、築100年を超える庄屋屋敷の敷地に建つ、リノベーションした離れです。母屋にはいまも同じ家族が暮らしています。到着してから翌朝のモーニングまで、実際の滞在をそのままご紹介します。
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そもそも「庄屋」とは
江戸時代(1603〜1868年)、村には村を代表する役人がいました。西日本では「庄屋」、東日本では「名主」と呼ばれることが多く、領主に代わって村の年貢をとりまとめ、帳簿や書類をととのえ、お触れを村人に伝え、近隣の村との交渉にもあたりました。はじめは世襲が多かったものの、江戸時代中期以降は村人の入札(選挙)や推薦で選ぶ村が多くなり、一年ごとに交代する村もありました。
はないけリトリートの母屋は、江戸時代にいまの刈谷市にあたる西境村の庄屋を務めた近藤家の屋敷です。築100年を超え、いまも一家の住まい。皆さまをお迎えするのは、その子孫です。宿である前に、まず「家」であること。それが、この滞在のいちばんの特徴です。
母屋から見つかった「秘密の地図」
約50年前、母屋から文久2年(1862年)に描かれた村の地図が見つかりました。描いたのは当時の庄屋・和助で、いまの家主のご先祖です。隠し田の位置など、村人だけが知るべきことが描かれ、「藩役人には見せるな、村内で使用せよ」というメモが添えられていたと伝えられています。
原本はいま刈谷市歴史博物館に所蔵されていて、宿では見られません。それでも、今夜眠るのはこの地図に描かれた土地です。田んぼ一枚ごとに年貢の納め先が違った「相給」の話や、尾張との国境だった境川のことは、庄屋の歴史のページで6つの拡大図とともに紹介しています。

泊まるのは、リノベーションした離れ
最初にはっきりお伝えすると、お泊まりいただくのは古い母屋ではありません。庭をはさんだ別棟の離れを、地元の工務店が断熱と気密サッシでリノベーションしました。冬も暖かく、夜は静か。高い梁と木のぬくもり、和紙の照明、庭に向いた大きな窓。落ち着いた和の趣に、北欧のシンプルさを合わせた空間です。
- 1階:リビング・ダイニング、キッチン、布団3組の和室、浴室・洗面室
- 2階:セミダブルベッド2台と遮光カーテンの寝室
- 一棟まるごと:最大5名。ほかのお客さまとの共用部分はなく、家のそばに無料駐車場2台分
和室はリビングとひと続きで、早く休む人がいるときはロールカーテンで仕切れます。布団は押入れの中。自分たちで畳に布団を敷くのも、旅のささやかな楽しみです。チェックアウトのときは、敷いたままで大丈夫です。

母屋のミニツアー:甲冑と雛人形
チェックインはセルフ式です。鍵はキーボックスに入っていて、番号はAirbnbメッセージでお送りします。家主一家は向かいの母屋で暮らしています。在宅のときに母屋のインターホンでお声がけいただければ、ご希望に応じて母屋の和室や雛人形、甲冑を約10分でご案内します。事前の申し込みは要りません。レビューでも、思い出深い時間としてよく挙げていただいています。静かに過ごしたい方は、もちろんそれで大丈夫です。
鴉天狗の甲冑:鴉天狗は、日本の民話に登場するカラスのような姿の妖怪。この甲冑は、金属板を槌で叩いて形をつくる「打ち出し」という伝統技法で、その姿をよみがえらせています。くちばし・目・眉・額の飾りはすべて打ち出し、眉毛と鼻毛は一本一本手植え。前立には、天狗と縁の深い扇が使われています。
雛人形:ミニツアーでは、母屋の雛人形も見せてもらえます。3月3日の雛祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを願う行事。人形が災いを引き受けて女の子を守ると信じられ、毎年その日が近づくと、女の子のいる家で段飾りが出されます。本格的な段飾りでは、最上段の内裏雛から三人官女、五人囃子、両脇の大臣、三人仕丁と宮廷の人々が並び、その下の段にはお道具が飾られます。


午後から夜へ、庭の時間
二つの家のあいだの日本庭園は、離れの窓からの眺めそのものです。午後は窓辺でネスプレッソを一杯。日が暮れると木々にあかりが灯り、庭は小さな舞台のような表情に変わります。聞こえるのは、まわりの田んぼの音くらいです。
季節によっても庭は変わります。夏は生命力あふれる緑、秋は紅葉の華やかさ、冬は澄んだ空気の中で枝の一本一本がくっきりと。雪景色は、年に数回あるかどうかの幸運です。
敷地の住人たち
飛び石の上で、猫に会えるかもしれません。敷地で暮らす家族の猫で、離れの中に入ることはありません。

古地図の土地を歩く朝
古地図に描かれたあたりは、いまも歩いてまわれる広さです。涼しい朝のうちに、約2km・40分ほどの散歩はいかがでしょう。
- 観音寺(宿から1分):すぐ西隣の曹洞宗の寺。本堂には、江戸の文人画家・池大雅の筆による「大悲閣」の額が掲げられています。
- 永福寺(約7分):文亀2年(1502年)創建と伝わる寺。和助の覚え帳に、明治2年(1869年)の秋葉山の祭礼で花火が上がったと記された場所です。
- 酒井神社(永福寺の隣):徳川家の重臣・酒井氏発祥の地という言い伝えが残る神社です。
- 境川の堤:川の向こうは豊明市、かつての尾張国。三河と尾張の“境”に立つことになります。
- 長善寺(約10分):永正16年(1519年)の開創と伝わる浄土宗の寺です。
お寺や神社は、地域の方の祈りの場です。境内では声を落として、静かにお過ごしください。

旅館でもホテルでもない、ということ
選ぶ前に知っておくと安心な違いです。旅館は夕食と朝食つきが一般的で、夕食は会席料理のことも多く、食事のあいだに布団を敷いてもらえて、浴衣で大浴場へ。ホテルには客室とフロントがあります。はないけにあるのは、一軒の家です。
| 一般的な旅館 | はないけリトリート | |
|---|---|---|
| 食事 | 夕食・朝食つきが一般的 | 食事なし。キッチンがあり、車で5〜10分の喫茶店や地元の飲食店へ |
| 人 | スタッフが食事や部屋の支度をする | 家主は隣の母屋に。Airbnbメッセージは通常2時間以内に返信 |
| お風呂 | 大浴場(温泉のことも多い) | コンパクトな専用の浴室。車で約7分に天然温泉 |
| 寝具 | 布団を敷いてもらえる | 2階にセミダブルベッド2台、和室の布団3組はご自分で |
| 空間 | 共用の廊下に面した客室 | 庭の見える離れを一棟まるごと(最大5名) |
旅館の夕食も楽しみたいなら、下呂や高山で1泊だけ旅館にして、残りの夜をここで過ごす組み合わせもおすすめです。
気持ちよく過ごすための、家のマナー
家族の暮らす敷地に泊まるので、いくつかお願いがあります。どれも、日本の家ではおなじみのことばかりです。
- 玄関で靴を脱ぐ:靴は玄関の土間で脱いで上がってください。つま先を扉に向けてそろえておくと、出かけるときも気持ちよく履けます。
- 給湯器は使うときだけオン:灯油式で、オンの間は燃焼し続けます。お風呂や洗い物の前にキッチンのスイッチを入れ、外出時はオフに。
- 21時以降はお静かに:田園の夜は、音が遠くまで届きます。音楽は控えめに、夜は窓を閉めてお過ごしください。
- 煙や強い匂いの出る料理は控えて:IHでの調理は大丈夫です。ホットプレートでの焼肉など、煙や匂いが部屋にこもる料理はご遠慮ください。
- 洗濯は外の洗濯室で:無料の洗濯乾燥機は、玄関を出て右手。干すときは2階のベランダへ(室内干しは避けてください)。
- 窓を開けたら網戸を:田んぼに囲まれた土地です。虫よけスプレーもご用意しています。
- 2階の引き戸は開けずに:家族の私物を置いているエリアです。
チェックアウトもシンプルです。食器を洗い(拭いて片付けなくて大丈夫)、給湯器とエアコンを切り、窓と網戸を閉めて、母屋のインターホンかAirbnbメッセージでお知らせください。布団は敷いたまま、分別したゴミも置いたままで大丈夫です。

こんな方に、こんな方には
向いている方
- 車で旅をして、夜は静かな場所に帰りたい
- チェーンのホテルではなく、物語のある場所に泊まりたい
- 朝ごはんは自分でつくるか、地元の喫茶店で
- ご夫婦やお二人の旅、小さなお子さま連れ、5名までのグループ
向いていないかもしれない方
- 車がない(最寄り駅から遠いため)
- 夕食つきで、館内に温泉がある宿がいい
- 夜遅くまでにぎやかに過ごしたい(隣で家族が暮らしています)
ゆっくり過ごす、はないけの一日
- 15:00到着。庭を眺めながら、ネスプレッソでひと息
- 16:00明るいうちに、寺と境川の堤へ散歩(約40分)
- 17:30車で約7分の「天然温泉かきつばた」で、移動の疲れを流す
- 19:00車で5〜10分の地元のお店で夕食。21時ごろ閉まる店が多いので早めに
- 21:00あかりの灯る庭と、田んぼの音。静かな夜
- 7:00翌朝は近くの喫茶店でモーニング(6:30から)
- 11:00チェックアウト。そのまま愛知の旅へ

よくある質問
- 古民家に泊まれますか?
- 築100年を超える母屋は、家主一家の住まいです。お泊まりいただくのは同じ敷地のリノベーションした離れで、梁や畳、庭の眺めはそのままに、断熱やキッチン、浴室は今の暮らしに合わせています。
- 母屋の中は見られますか?
- 家主が在宅なら、インターホンでお声がけください。約10分ご案内します。予約は不要です。
- 家主とはどのくらい顔を合わせますか?
- チェックインはキーボックスでのセルフ式なので、顔を合わせるのはご希望の分だけです。家主は向かいの母屋で暮らしていて、Airbnbメッセージには通常2時間以内にお返事します。
- 食事はつきますか?
- つきません。キッチンがあり、車で5〜6分のところにスーパー、近くにはモーニングの喫茶店があります。
- 小さな子ども連れでも大丈夫ですか?
- ベビーチェア、コーナーガード、絵本やおもちゃがあり、和室の布団で小さなお子さまも一緒に眠れます。
- 何時に着けばいいですか?
- チェックインは15:00〜22:00です。遅くなりそうなときは、Airbnbメッセージでお知らせください。
ご滞在の計画はお決まりですか?
人数に合わせた料金と空き日をAirbnbでご確認いただけます。最大5名、無料駐車場2台分。
Airbnbで空室を見る予約・お支払い・サポートはAirbnbが行います。
出典:刈谷市歴史博物館(文久2年の西境村絵図、「歴史の小径」の散策ルート)/コトバンク「名主」(庄屋の役割・呼び名・選ばれ方)/Go Nagano「How to Stay in a Japanese Ryokan」(旅館の食事・布団・浴場)/お店の営業時間は2026年10月時点


